『バトルフロンティア』を歌った高屋亜希那さんを調べてみた!
いつものようにYouTubeサーフィンしてたら、オススメ動画の欄に『バトルフロンティア』の音源が出てきました。
Wikipediaによるとアニポケで流れていたのは2005年から2006年にかけてのようです。相当昔ですね。動画投稿日が2020年5月15日とかなり最近でびっくり。
この曲を歌っているのは高屋亜希那さんという方なのですが、不勉強で『バトルフロンティア』以外の曲を知らなかったため、この機会に他の曲を調べてみた!という内容です。
高屋亜希那さんの情報
Googleで「高屋亜希那」と検索していただくとわかりますが、『バトルフロンティア』のCDや歌詞情報、 カラオケ情報などが大量にヒットする一方で、高屋亜希那さん自体の情報がほとんどありません。タワレコのアーティスト詳細ページではかろうじて彼女のCD作品を4枚だけ確認できます。
1枚は『バトルフロンティア』が収録されているポケモン主題歌集CD、もう2枚はスイートプリキュアのサントラ、最後の1枚はよくわからんボサノバカバー集です。『バトルフロンティア』のシングルが載っていないので全てのCDを記載しているわけではなさそうです。
ここで画像検索に切り替えてみると、上から2番目に以下のサイトが出てきました。
(ちなみに1番目と3番目には黒いタンクトップにグレーのズボンの女性の写真が出てきますが、両方とも画像検索すると宇多田ヒカルがヒットします。)
通常検索で上の方に表示されず、画像検索で宇多田ヒカルに負ける公式サイト……。
アクセスしてみると、プロフィールや作品がまとめてあり、一見普通に公式サイトと思ってよさそうなサイトです。「沿革」から「【Works】」の項を見ると、確かに『バトルフロンティア』含め20曲超の記載があります。また、音楽に加え漫画やクレイアートの実績も記載されており、多彩な活動ぶりが見てとれます。それぞれの作品に「ネーム:野澤恵」のような形で名義が付記されており、このページからだけでも以下の別名義が確認できます。
・野澤恵(のざわ あや)
・aya
・冬季ねあ(漫画作品に用いている名義として記載あり)
・ふじのほのか(声優名義として記載あり)
・岡本絵莉・おかえり。(クレイアート作品に用いている名義として記載あり)
・NegativeCelcius(ゲーム作品に用いている名義として記載あり)
・nekopps(ゲーム作品に用いている名義として記載あり)
名義を使い分けるタイプなのでしょうか。たくさんありますね。
ここで「沿革」の「【Profile】」の項を見ると、気になる記述が……
2行目にて、
「『第16回ヤング歌謡大賞』にて、出場歌手のゴーストシンガーとして裏方で歌を熱唱収録。」
とあります。ゴーストシンガーであることを公表するのは珍しい気がしますが、【Profile】欄や【Works】欄ではサラっと公表しちゃってます。
いったいどんな歌手のゴーストシンガーをしていたのでしょうか。「第16回ヤング歌謡大賞」で検索すると、以下の動画が出てきました。
普通に「野沢恵さん、14歳が歌います!」ってアナウンスされてますね。でもサイトではゴーストシンガーとして熱唱と書いてあります。野沢恵さんのゴーストシンガーを野沢恵さんが務めている? よくわからなくなってきました。あと動画では東京都板橋区って書いてあるのに【Profile】欄に福岡県出身ってあるのも変ですね。
(それとは別にこの動画の野沢さん歌がお上手でびっくりしました。1988年で14歳ということは1973年か74年生まれですね。2020年現在は40代後半だと思うとこれ相当昔の動画になりますね……)
ちなみに先ほど列挙した人名のうち、「野沢あや」「冬季ねあ」「ふじのほのか」はそれぞれWikipediaに記事があります。
3段目のふじのほのかさんの記事を見てみると、生年月日が1978年1月11日となっています。所属事務所のプロフィールのアーカイブを見ても同じ誕生日となっています。先ほど記載した野沢恵さんの誕生日との整合性が取れていません。いったいどういうことなんだ……
「高屋亜希那公式サイト」下部には 「野沢あや公式サイト」「冬季ねあ公式サイト」のリンクがあるので、こちらも確認してみましょう。
まず、「野沢あや公式サイト」を確認すると、一見高屋亜希那公式サイトと同じような内容が記載されていますが、「BIOGRAPHY」のテレビアニメ「デュアル!?ぱられルンルン物語」オープニングテーマ『DUAL!』の項を確認すると、「ネーム:要調査」とあります。自分の曲なのに要調査ってどういうこと…… (ちなみに高屋亜希那公式サイト側では「(本歌/GhostSinger)」と記載されています。)他にも、「野沢あや・廣重綾音楽事務所」の法人定款規約第2章第8条(3)では、「(中略)、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、えせ右翼団体、特殊知能暴力集団、詐欺グループ、霊感商法団体その他の反社会的勢力に該当せず、反社会的勢力と関係を有しないこと。」と怪しげな単語が確認できます。
「冬季ねあ公式サイト」の「BIOGRAPHY」を確認すると、まずページ上部にデカデカとデュエルマスターズの「勝利のプリンプリン」のイラストが掲載されています。しかし、キャプションは以下の通り。
FUYUKI NEA Image Charactor
Copyright (C) 2006 イメージキャラクター プリンプリン
Natsu Tenchou. All Rights Reserved.
このイラストが描かれている「勝利のプリンプリン」は、デュエル・マスターズWikiの該当ページによると、2017年1月28日発売の「DMX-25『ファイナル・メモリアル・パック 〜E1・E2・E3編〜』」というパックに初めて収録されたようです。確かにAmazonの販売ページからカードの画像を見ても「DMX25」と記載されています。
また、カードに「illus: KOUSAKU」と記載されている通り、2019年9月4日に、ニコニコ静画にてコウサクさんが同イラストを公開しています。「冬季ねあ公式サイト」に掲載されているイラストとほぼ完全に一致していると言ってよさそうな画像です。(一致していない唯一の点は、コウサクさんのイラストでは画像下部に「デュエル・マスターズ©Wizards/Shogakukan/Mitsui-Kids」の表記がありますが、「冬季ねあ公式サイト」掲載のイラストではご丁寧にカットされています。)
勝利のプリンプリン / コウサク さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
以上から、「冬季ねあ公式サイト」掲載のキャプションのうち、「2006」と「Natsu Tenchou. All Rights Reserved.」の部分はウソだと言えそうです。
ちなみに、「INFOMATION」から確認できる「冬季ねあ漫画家事務所」法人定款規約は、「野沢あや・廣重綾音楽事務所」のそれとほぼ同等の形式で書かれています。(社会運動標ぼうゴロ、えせ右翼団体、特殊知能暴力集団うんぬんのくだりを含め)
その他にも、どの「公式サイト」でもトップページでTor Projectとアノニマス活動を支援する旨を記載していたり、事務所公式Twitterっぽいアカウントも電波なツイートしかなかったり、そもそも野沢恵さんの曲を聴くと高屋亜希那さんと声がだいぶ違ってたり、などなど不審な点だらけとなっています。
欧米バビロニア血族の戦争推進勢力が操る改憲勢力の邪道を打ち砕きましょう。#参院選
— 野澤恵・廣重綾音楽事務所 (@ayahiroshige) 2016年7月6日
……これは推測ですが、おそらく高屋亜希那さんも野沢恵さんも冬季ねあさんも別人で、あたかも全員同一人物であるかのように、インターネット上のよくわからん人が偽公式サイトなどを整備しているのではないでしょうか。
検証
「高屋亜希那公式サイト」に瓜二つな、「白井紗奈公式サイト」というページがあるので、こちらを見てみます。
お問い合わせ先のメールアドレスが「tenjinumi@(省略)」であること、「SNS」ページに天神有海さんのTwitter・FBのリンクがあることから、白井紗奈=天神有海という設定が読み取れます。
また、「高屋亜希那公式サイト」の「INFO」と「白井紗奈公式サイト」の「INFO」を比較してみると、「■運営概要」の「高屋亜希那」と記載されている部分をそのまま「白井紗奈」という語句に置き換えた形になっています。ここまでの情報が正しいとすれば、この2つの公式サイトを「マイカルハミングバード」という法人が運営していて、代表者は高屋亜希那=野沢恵=冬季ねあ=白井紗奈=天神有海で、他の会員は中村春香さんと廣重綾さんの2人である、と読めます。(同一法人についての説明で別名義を使うのってアリなんですかね……)
加えて、ここまで登場した人物をTwitterで検索すると、以下のアカウントが出てきます。
マイカルハミングバード (@ganganwing) | Twitter
中村春香 (@nakamura_haruka) | Twitter
このうち、冬季ねあ (@fuyukinea) 以外の6アカウントにおいて、2020年3月12日午後2時ごろに、Twitter Web AppよりTor Projectを支援するツイートとアノニマスの活動を支援するツイートがされています。
わたしは、Tor Project(トーアプロジェクト)を応援してます。
— 野沢あや (@nozawa_aya) 2020年3月12日
トーアは、自由なインターネット社会を守る通信システムです。
皆様の #寄付 をよろしくお願いします。https://t.co/WhSHqYr1kB
わたしたちは、アノニマスの活動を応援しています。
— 野沢あや (@nozawa_aya) 2020年3月12日
監視社会の廃止を目指す人々の集まりです。
支援したい方はビットコイン、イーセリアム、モネロで寄付できます。
皆さんの #寄付 をお待ちしてます。 pic.twitter.com/uAplO8slrl
時刻を詳細に見ると以下の通りになっています。
13:59 Tor Project応援ツイ (@ganganwing)
14:05 アノニマス応援ツイ (@ganganwing)
14:14 Tor Project応援ツイ (@nakamura_haruka)
14:15 アノニマス応援ツイ (@nakamura_haruka)
14:24 Tor Project応援ツイ (@nozawa_aya)
14:24 アノニマス応援ツイ (@nozawa_aya)
14:31 Tor Project応援ツイ (@hiroshigeaya)
14:32 アノニマス応援ツイ (@hiroshigeaya)
14:41 Tor Project応援ツイ (@okamotoeli)
14:42 アノニマス応援ツイ (@okamotoeli)
14:50 Tor Project応援ツイ (@tenjinumi)
14:50 アノニマス応援ツイ (@tenjinumi)
……わかりやすくてよいですね。
また、天神有海さんについては、Pixiv大百科に記事が存在します。
この記事では「注意喚起」と題して以下の文章が記載されています。
注意喚起
当記事は長らく、本人を騙る成りすましアカウントによる荒らしの被害に遭っていました。一度記事内容を差し戻した際にも、同様の手口で何度も改ざんされる被害を受けています。 2019年現在でもWikipediaやその他のサイトで、前の版と同様の内容に改ざんされる被害が確認されています。
もちろん、これらの内容はいずれも矛盾があり、全てデマ情報です。
例えば、公式サイトを自称するページでは、2013年リリースの「デジモン」のPSP版における「泉光子郎」のボイスはアニメからの音声を移植しているとされていますが、実際には天神さん本人が新規に吹き込んだ台詞が用いられています。これについては、公式サイトにおける角銅博之さんのコメントにも裏付けられています。
くれぐれも成りすましアカウントによる発言を信じ込んで、決してホームページに公表されている口座に寄付しないよう、十分に気を付けてください。同様に、以下のページは全て同一の成りすましによるものとされるアカウントなので、間違っても以下のサイトに書かれている情報を鵜呑みにしないよう宜しくお願い致します。
どうやらTwitterや偽公式サイト以外にも活動の裾野が広がっていたようです。ヤバいwikiとして知られるYourpediaの「野沢あや」のページでは、外部リンクの異常な量などからその活動の熱心さを垣間見ることができます。
さて、ここで先ほどリンクを貼った、Wikipediaの「野沢あや」のページを見てみます。
「履歴表示」から履歴を見ると、大量の編集履歴が確認できます。
大雑把に見ると、金は命より重いさん、天照皇女さん、行動する保守運動さん、世界に冠たる日本さんらが大量に情報を追加し、そのたびに喜多治夫さんが取り消す、という操作が多くみられます。
試しに天照皇女さんが2015年1月16日に3367バイト加筆した版を見てみます。
野沢あや - Wikipedia (2015年1月16日版)
別名義に「冬季ねあ」「高屋亜希那」「岡本絵莉」などが加筆されており、「高屋亜希那公式サイト」などの記述と一致します。また、天照皇女さんが2015年6月4日に738バイト加筆した版では、「所属事務所・アセンプロダクションからの要請による修正作業」として、注釈で出典資料を誤記として誕生日を書き換えるなど強烈な編集履歴を残しています。
野沢あや - Wikipedia (2015年6月4日版)
Wikipediaでは編集者のページが閲覧できるので、天照皇女さんの利用者ページを見てみましょう。
以下の表示がありますね。
このアカウントはこの方針に基づく依頼によって、ウィキペディア日本語版への投稿が制限されています(期限は設定されていません)。関連するログも参照してください。 |
無期限投稿ブロックを食らっているようです。「関連するログ」から、天照皇女さんの会話ページに飛ぶことができます。
……すごい量の会話が記録されています。「野沢あや」以外の記事においても色々とトラブルがあったようですが、「高屋亜希那」関連に探索対象を絞り、「野沢」「なりすまし」等のワードで検索すると、ウィキペディアン内でも、天照皇女さんが追加する情報のソースの「公式サイト」がなりすましであると認識されているのがわかります。
一連のTwitterアカウントの作成主、偽公式サイトの管理人、天照皇女さんが同一人物かは全く読み取れないですが、これらが密接に関係しあっており、インターネット上の「野沢あや」関連の情報を片っ端から塗り替えていることは、認めてもよい気がします。
ちなみに、天照皇女さんの編集を主に取り消している、喜多治夫さんの利用者ページを見てみましょう。
主に野沢恵さんの情報の訂正を行っております。
この一行のみが記載されています。硬派ですね。
まとめ
いかがでしたか?
・『バトルフロンティア』以外に高屋亜希那さんが関わる作品は、Wikipediaの検索結果によると、スイートプリキュア♪のBGM(コーラス)、中森明菜さんの『GIVE TAKE』『DIVA』『REVERSE』『HEARTBREAK』『花よ踊れ』『あの夏の日』(コーラス)、工藤静香さんの『銀の龍の背に乗って』のカバー(コーラス)がある。(いずれも2011年以前の作品)
・著作権法第百二十一条 著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ということがわかりましたね。これからも注目です!
以下にて同じ件についてと思われるリンクをまとめましたので、興味のある方は参考にしてください。
それでは、さようなら。
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